
2025
恋をしませう、
はりまや橋で。
テーマを深掘り
「土佐の高知のはりまや橋で、坊さんかんざし買うを見た。」
誰もが一度は耳にしたことのある、『よさこい節』の一節です。
高知の街を象徴するはりまや橋。その始まりは、江戸時代初期にまで遡ります。
当時、高知城下で堀を挟んで店を構えていた二人の豪商、播磨屋(初代・宗徳)と櫃屋(道清)。北側に住む播磨屋宗徳と、南側に住む櫃屋道清は、互いの本店を行き来するために私費で仮橋を架けました。
やがて町の人々も利用するようになり、その橋はいつしか「播磨屋橋」と呼ばれるように。当初は私設の橋でしたが、時代とともに公儀(藩)によって架け替えられ、土佐の町の往来を支える橋となっていきました。
そんな土佐の「目抜き通り」だった播磨屋橋を舞台に生まれたのが、純信とお馬の恋物語。
五台山竹林寺で仏に仕える身である僧と、寺に出入りする近所の鋳掛屋の娘。恋は御法度とされていた時代。手に手をとって京への駆け落ちを企てました。しかし、残念なことに二人は御上によって引き離されることとなります。
その一大スキャンダルは、いつしか誰からともなく囃子歌となり、人々の口から口へ。そして長い年月を経て、『よさこい節』として今も私たちの耳に残っています。
幕末、高知の街を駆け抜けた坂本龍馬や武市半平太もまた、酒を酌み交わしながら、この一節を口ずさんだのかもしれません。
「がっかり名所」なんて呼ばれることもある、はりまや橋。
けれど、その朱色の橋のたもとに立ち、かつてここで交わされた想いに心を重ねてみれば――そこはたちまち、恋の物語が息づく情緒あふれる場所に見えてきます。
2025年の濱長花神楽は、そんな「恋」をテーマに、さまざまな恋模様を描きます。
「恋に恋する乙女」
「恋より愛に生きるオトナの女」
「恋って美味しいの?無邪気な幼子」
そして――
「恋に酔いたい男たち」。
踊り子たちそれぞれも、それぞれの恋があることでしょう。
はりまや橋の朱色にも負けないほど、心を「ぽっ」と赤く染めながら、
舞います。跳びます。踊ります。
恋に揺れる心も、恋に焦がれる心も、恋を知らない無邪気な心も、恋に酔いしれる心も。
すべての「恋」を乗せて、濱長花神楽がはりまや橋を彩ります。
さあ、今宵はあなたも――
「恋をしませう、はりまや橋で。」
*追伸
ドラマチックなお話には、「裏話」がつきものです。
実は、播磨屋橋でお馬にかんざしを買ったのは純信ではなく、「慶全(じょうぜん)」というお坊さんだったらしいのです。元々お馬と「いい仲」になったのは慶全のほうで、それを止めに入ったはずの純信自身が、恋に落ちてしまったのだとか。(お馬さんはよほど魅力的な女性だったのでしょう)
お馬を取られた慶全が、純信を妬んで「かんざしを買ったのは純信だ」と言いふらした――それが『よさこい節』のもとになったという説があります。
ところで、坊さんが買ったというかんざし。どんなものを思い浮かべますか?「高知だから珊瑚でしょう」という方も多いはず。はりまや橋付近には珊瑚店もありますし、高知の老舗菓子店・浜幸さんの銘菓「かんざし」にも、珊瑚玉を模した飴が入っています。ですが歴史的背景から考えると、実際は「花かんざし」(職人が細工を施したもの)であった可能性が高いようです。当時、珊瑚は高級品であり禁制品。購入することも所有することも、幕府によって禁じられていました。一般の民、ましてやお坊さんが手にできるようなものではなかったのです。
事実は事実として。お話は多くの人の手で味付けされながら、どんどんドラマティックになっていくのが世の常です。江戸の末期を騒がせた、前代未聞の恋物語。ちょっと素敵に語り継ぎたくなる気持ちも、わかるような気がします。






ご協賛ありがとうございました
◆ 企業・団体の皆様
株式會社Attrice豊月
株式会社日本エン タープライズ
株式会社イナガワ設備
※敬称略
◆ 個人の皆様

受賞の記録
よさこい祭り 本部審査にて「銀賞」をいただきました。











